ニューヨーク(CNN) 価格が高騰している貴金属は金だけではない。安全資産を求める投資家の需要や旺盛な産業需要、長引く供給不足が追い風となり、銀価格は今年これまでに約75%急騰した。
銀のスポット価格は9日、過去最高値となる1トロイオンス=51ドルに到達。50ドルの節目を突破したのは1980年以来だった。 トレーダーたちは今年、地政学的な不安定さや経済の不透明さに対する安全な投資先、ヘッジ手段として、金や銀のような実物資産に注目している。背景には関税やインフレ、連邦準備制度理事会(FRB)の独立性、政府債務に関する懸念がある。 銀の高騰を支えているのは、金価格の記録的な上昇だ。金は先日初めて1トロイオンス=4000ドルを付けたばかりで、銀はこれに代わる安価な代替の投資先と考えられている。 シルバー・インスティチュートのマイケル・ディリエンゾ最高経営責任者(CEO)は以前、CNNの取材に「世界経済への懸念が強まると、人々は銀のような実物資産に目を向ける」「銀は金に連動して上昇する傾向がある」と指摘していた。 投資家の需要で価格が押し上げられている半面、銀はデータセンターや太陽光パネル、スマートフォンの製造など幅広い産業用途にも使用されている。 INGのコモディティーストラテジスト、エワ・マンセイ氏はメールで「銀は産業用金属としての役割と安全資産としての役割を併せ持つことから、上昇に拍車がかかっている。2025年は銀にとって歴史的な年になった」と説明した。 供給面の懸念も価格上昇を下支えしている可能性がある。 ザナー・メタルズの副社長でシニア金属ストラテジストのピーター・グラント氏によると、銀市場は「鉱山の生産停滞」により需要に追いつかず、構造的な供給不足が5年目に入っている。 グラント氏はメールで「銀への旺盛で増え続ける需要と、根強い供給不足が組み合わさり、価格高騰の条件がそろった」との見方を示した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2ef5acfdd5a95a8ec9684805254dca3b13433eb8