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2025年11月14日
欧州・アフリカ
EU、電子廃棄物から年間最大150万トンの重要原材料を回収可能に

欧州連合(EU)は、2050年までに年間およそ90万〜150万トンの重要原材料(Critical Raw Materials:CRM)を電子廃棄物(e-waste)から回収できる可能性があると発表した。

これは「国際電子廃棄物の日」に合わせて公表された報告書『廃電気・電子機器における重要原材料の見通し(Critical Raw Materials Outlook for Waste Electrical and Electronic Equipment)』によるものである。

報告書では、「電気・電子機器(EEE)はヨーロッパの経済と日常生活の基盤を支える不可欠な存在であり、原材料需要の増加や地政学的緊張、供給リスクの高まりの中で、EUは電子廃棄物(WEEE)を“都市鉱山(urban mine)”として位置づけ、回収・設計・リサイクル体制を強化する必要がある」と強調している。

現在、EU27か国に英国、スイス、アイスランド、ノルウェーを加えたEU27+4地域では、毎年廃棄されるスマートフォン、ノートパソコン、サーバー、家電製品、ケーブルなどに、約100万トンの重要原材料が含まれている。これらは、グリーンテクノロジー、デジタルインフラ、防衛産業を支えるために不可欠な金属や鉱物である。

EU環境担当委員のジェシカ・ロスウォール(Jessika Roswall)氏は、「リサイクルは環境的な義務であると同時に、地政学的な戦略でもある」と述べ、「現在、欧州は重要原材料の90%以上を第三国に依存しており、中には1%未満しかリサイクルされていないものもある」と指摘した。

2022年の時点で、EU+4地域では約1,070万トン(1人あたり約20kg)の電子廃棄物が発生しており、そのうち54%(570万トン)がEU基準に沿って処理されたが、残り46%(500万トン)は非公式ルートで処理された。
適正ルートで回収されたCRMは約40万トンに達し、その内訳は銅16.2万トン、アルミニウム20.7万トン、シリコン1.2万トン、タングステン1,000トン、パラジウム2トンであった。

しかし、希土類元素など約10万トンのCRMが失われたとされている。

一方で、非公式ルートでは330万トンもの資源が混合スクラップに流入し、埋立や焼却によって完全に失われた。また、約40万トンは再利用目的で海外に輸出されたという。

報告書によると、EU+4地域の電子廃棄物の総量は2022年の1,070万トンから2050年には1,250万〜1,900万トンに増加する見込みであり、CRMの含有量も100万トンから120万〜190万トンへと増えると予測されている。

今後25年間で、大型家電(洗濯機・食洗機など)の廃棄量は400万トンから最大750万トンへ、小型家電は320万トンから450万トンへ、冷暖房機器は180万トンから330万トンへと増加すると見られる。

一方、テレビやモニター類は80万トンから40〜70万トンに減少する見込みだ。また、再生可能エネルギー需要の拡大に伴い、太陽光パネルの廃棄量は2022年の15万トンから2050年には最大220万トンにまで急増すると予測されている。

URL: https://www.eunews.it/en/2025/10/14/raw-materials-eu-urged-to-tap-its-urban-mine-of-e-waste/