フランス・リヨンで 10月7日から10日まで開催される第47回「Pollutec 2025」 が、ヨーロッパの環境・リサイクル業界における最大級のイベントとして注目を集めている。
来場者数は5万人を超える来場者、2,000社を超える出展企業が予想されていて、テーマは「サーキュラーエコノミー(循環経済)の加速」。廃棄物管理、金属・電子スクラップの再資源化、脱炭素化技術などが焦点となる。
フランスのリサイクル現状
フランス政府は非有害・非鉱物性廃棄物のリサイクル率を65%に引き上げる目標を掲げているが、現時点では 約48% にとどまっている。
プラスチックのリサイクル率は 28% と、EU平均の41%を大きく下回る。一方、建築・輸送部門で使用される アルミニウムの95% が再利用されるなど、金属系リサイクルは好調だ。
しかし、銅のリサイクル率は30%程度 にすぎず、年間消費量25万トン以上のうち、約6万6,000トンしか国内で再生処理されていない。
また、電子廃棄物(E-waste)の回収率は2022年に42.7%となり、フランスは世界トップ10の電子廃棄物発生国にランクインした。
技術革新を担う出展企業
フィンランドの 「TANA Oy」 は次世代破砕機「Hammerhead」を初公開。大量の廃棄物を迅速かつ効率的に処理できる。
フランスのスタートアップ企業「Mecaware」 は酸や硫酸を使用せず、CO₂を活用したプロセスでリチウム、コバルト、ニッケルをバッテリーから抽出する革新的リサイクル技術を披露。
フランスのもう一つのスタートアップ企業「Lixo」は収集車に搭載可能なAI選別システムを紹介し、廃棄物をリアルタイムで分類可能にした。また、Veoliaと1億8,800万ユーロの7年契約を締結し、リール地域の収集トラックに10台以上の分析装置を設置します。モジュール方式を採用する「Lixo」は、あらゆる車両に対応可能で、繊維・ガラス・医療廃棄物などの物質をリアルタイムで検出する。
「MTB Recycling」 はリチウムイオン電池や製造残渣から 95%以上の有効物質を回収できる「Zero Waste Battery Line」を改良し展示、95%を超える活性物質回収率を達成し、2031年のEUバッテリー規制目標を見込んでいる。
環境にやさしい政策と協力
2024年版のPollutec・エキスポは、フランスの廃棄物対策法と拡大生産者責任(EPR)制度を明確に反映した展示会であった。会期中に発表された新技術や製品は、政府の政策目標と深く連携しており、廃棄物削減とリサイクル技術の最前線を紹介するものであった。
Pollutecは単なる商業的な展示会ではなく、政策ハブとしての役割も担っている。エンタープライズ・ヨーロッパ・ネットワークと共同で開催された「グリーン・デイズ」B2Bミーティングは、国際的な協力とパートナーシップを促進する重要な場となった。さらに、「LIFE」のようなEUプログラムは、参加企業に対し資金調達の機会を提供した。
イベント運営においても環境配慮が強化されている。2024年の開催では、35,000平方メートルに及ぶカーペットの撤去と展示資材の再利用を実施した結果、69%という高いリサイクル率を達成した。これは、イベント運営における持続可能性へのコミットメントを示すものである。