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2025年7月16日
欧州・アフリカ
Veolia、ヨーロッパで特許取得済みの新技術Drop®を導入し、ターゲットとするPFASを最大99.9999%分解できる画期的な技術革新を発表

Veoliaは、2025年6月、ヨーロッパにおいて新たな特許技術「Drop®」を発表し、有害廃棄物の処理に適用する大規模プロジェクトを開始しました。この技術は、人間の健康および環境に深刻な影響を及ぼすPFAS(パーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル化合物)を最大99.9999%除去できると評価されています。

PFASは人工的に合成された化学物質であり、防水性・防汚性・耐熱性に優れているため、1940年代以降、様々な産業や家庭用品に広く使用されてきました。代表的な用途には、調理器具のコーティング、防水衣料、消火フォーム、半導体製造工程などがあり、炭素-フッ素結合という非常に強固な化学結合を持つため、処理や分解が困難です。このような特性から、PFASは「永遠の化学物質(Forever Chemicals)」とも呼ばれ、土壌や水質の汚染、人体への蓄積による健康リスクが世界的に問題視されています。

VeoliaはこのようなPFAS問題の解決に向けて、自社のグローバル研究所において数年にわたる研究を経て、Drop®という独自かつ特許取得済みの焼却処理技術を開発しました。Drop®技術は、従来の焼却処理では完全に除去することが難しいPFASを、900°C以上の高温焼却と特殊触媒を用いて完全に分解するように設計されています。

Drop®は、単に高温でPFASを燃やすのではなく、熱分解反応を促進する触媒を加えることにより、PFASを安全かつ無害な無機物へと転換する点が最大の特徴です。また、焼却中に発生する酸性ガスを効率的に除去し、設備の腐食や故障リスクを最小限に抑えることで、長期的な運転の安定性も確保されています。

Veoliaは現在、フランス、ドイツ、スペイン、ポーランド、イギリス、スイス、ハンガリーにある有害廃棄物専用焼却施設20カ所にこのDrop®技術を導入しており、今後は導入地域と処理能力を段階的に拡大していく予定です。

この発表について、Veoliaヨーロッパ有害廃棄物部門CEOのカトリーヌ・リクー(Catherine Ricou)氏は、「Drop®技術によりPFASを最大99.9999%除去できることで、環境規制が強化されているヨーロッパで新たな基準を打ち立てることができたことを誇りに思います」と述べ、「Veoliaは今後も、環境および健康面において複雑な課題を解決するための技術革新に取り組み続けます」と語っています。

Drop®技術の性能は、2022年から実施されたアメリカ環境保護庁(EPA)の検証基準であるOTM-45およびOTM-50テストによって実証されました。Veoliaは数年間のテストおよびパイロット運転を通じて、この技術が高分子および低分子PFASの両方に対して高い分解効率を示すことを確認しました。

実際に、PFOS、PFOA、PFHxSなどの代表的な低分子PFASやポリマー型PFASを含む廃棄物をDrop®技術が導入された焼却炉に投入した結果、それぞれ最大99.9999%の除去効率が確認されました。

Veoliaは現在、有害廃棄物処理分野において世界最多の特許を保有および出願中の企業であり、廃棄物の分析から処理、土壌・地下水の回復、最終処分までをカバーする包括的なソリューションを提供しています。Drop®は、これら統合的なシステムの中核的技術であり、今後はBeyond PFASなどの関連プログラムにも適用される予定です。

 

【Veoliaについて】
Veoliaグループは現在、世界中で21万5,000人の従業員を擁し、年間1億1,100万人に飲料水を供給、9,800万人に衛生サービスを提供、4,200万MWhのエネルギーを生産し、6,500万トンの廃棄物を処理しています。2024年には連結売上高447億ユーロを記録し、「エコロジカル・トランスフォーメーション(生態的変革)」のリーダー企業を目指しています。

URL: https://www.veolia.com/en/our-media/press-releases/pfas-veolia-announces-major-breakthrough-launch-europe-technology