ニュース

  • 国内

IT機器の銅、NTTと三菱マテリアルが再利用 国内調達で海外依存下げ

NTT三菱マテリアルは3日、IT機器から銅資源を回収して再利用する事業を始めると発表した。データセンターなどに使われる銅は需要が急増し不足感が強まる。リサイクルを通じて国内で調達できる体制を整え海外依存を低減する。

ビジネスTODAY

ビジネスに関するその日に起きた重要ニュースや、いま注目の話題を深掘りします。過去の記事や「フォロー」はこちら

「銅資源は外国の特定の地域に偏っており、奪い合いも激しい」。三菱マテリアルの井上達也執行役常務は3日、都内でNTTと共同で開いた記者会見で銅の再利用に取り組む背景を説明した。

共同で7月に新会社設立

NTTと三菱マテリアルの共同出資会社「NTTサーキュラスト」について記者会見する社長に就任予定の宮崎敬樹氏(3日、東京都千代田区)

新事業は共同で7月1日に設立する新会社「NTTサーキュラスト」が手掛ける。出資比率はNTTが66.6%、三菱マテリアルが33.4%。NTTの研究開発マーケティング本部の宮崎敬樹担当部長が社長に就く。

新会社は使用済みのIT機器や通信設備から銅などの金属資源を回収し、再利用できる素材をつくって外部企業に販売する。まずNTTで年間の総重量が47万トンに及ぶ廃棄物を対象とする。回収できる銅の量は非公表。2027年度からは外部の企業の廃棄物にも対象を広げる。

銅の再利用過程の情報を共有

新事業の柱となるのが銅資源の情報を共有するデータ基盤だ。再生材がどういった機器由来で、どの企業が使ったかを表示できる。システムを構築して27年度から実証実験に取り組み、28年度からの本格展開を想定する。再利用の事業と一体で提供する。

システムを利用する企業は自社が調達する銅について、再利用するまでの過程を細かく把握できる。自社製品の製造に再生材を使うことで環境負荷が低いと外部に説明しやすくなる。調達する素材が生産の過程で児童労働などの人権侵害に関与していないことも明確にできる。

「NTTサーキュラスト」設立について記者会見後、記念写真に納まる新会社の社長に就任予定の宮崎敬樹氏(左から2人目)ら(3日、東京都千代田区)

NTTの爪長美菜子執行役員は3日の記者会見で「当社は自ら大量の使用済み機器を排出しているほか、データ基盤の提供実績がある。この2つの知見を生かして再生材が選ばれる市場づくりに貢献したい」と話した。

日本は銅資源のほぼ全量を外国からの輸入に頼り、経済安全保障の面でリスクとなっている。銅は人工知能(AI)の計算処理を担うデータセンターで使われる電気ケーブルや電子基板に不可欠で、需要が伸び価格は高騰している。6月時点の1トン当たりの価格は約1万4000ドルで1年前から約4割上がった。

銅を再利用すればコストが割安になるとは限らない。鉱山で鉱石を採掘する手間などは省けるが、廃棄物から不要な成分を取り除くプロセスは必要となる。1台のIT機器からとれる量はばらつきもある。ただ銅の供給に不足感が強まるなか、銅を利用する企業にとって調達源を分散させることが欠かせなくなっている。

今後も銅の需給の逼迫は続く恐れがある。鉱山の新規稼働には規制当局の認可が必要で、生産国によっては数十年単位の時間がかかる場合がある。米S&Pグローバルによると、今後も供給が大幅に増えない場合は40年に世界で1000万トン分の銅が足りなくなる見通しだ。

非鉄各社が「都市鉱山」に照準

一方で国内には使用済みの電子機器などに含まれる金属資源が「都市鉱山」として豊富にある。三菱マテリアルは都市鉱山の掘り起こしに強みを持つ。廃電子基板では年間約16万トンの処理能力があり、35年度までに2倍に拡大する計画だ。

JX金属も佐賀関製錬所(大分市)で約70億円を投じて銅スクラップの前処理設備を新設し、40年までにリサイクル比率を50%に高める目標を掲げる。住友金属鉱山は7月から、電気自動車(EV)用のリチウムイオン電池から銅やニッケル、コバルト、リチウムを取り出す事業を商業規模で始める。

国内で銅や貴金属を含む廃電子機器を再利用できている比率は現状では23%にとどまり、多くは外国に輸出されたり埋め立てられたりしている。様々な金属資源で外国からの調達に依存する日本にとって、地政学リスクを軽減するためにも都市鉱山を活用する体制の整備が重要になる。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC311BQ0R30C26A5000000/?n_cid=dsapp_share_ios

お問い合わせ

都市鉱山ビジネスや貴金属リサイクルに関するご相談、お取引・パートナーシップのお問い合わせ、採用エントリーはこちらから受け付けております。