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【商品市場】中東危機で売られた金、再上昇のカギはアジア資金の回帰

2025年に66%上昇した金価格は、今年1月末に1オンス=5,500ドル超の最高値を付けた。しかし、米国によるイラン攻撃後の6月には4,000ドルを割った(図表)。1月末の高値からの下落率は25%を超え、地政学的緊張下で安全資産の金が売られる異例の展開となった。
 イラン攻撃前までの力強い上昇を支えたのは、アジアの投資需要だった。25年時点では、世界の地金・コイン投資需要のうち中国が約3割、インドが約2割も占めた。ETF(上場投資信託)でも、世界の保有量に占めるアジア上場ファンドの比率は、1年間に約7%から約11%へ上昇。米金利に左右されにくいアジアの個人資金が、価格への影響力を高めていた。
 だが、26年2月末のイラン攻撃後は、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待が後退。米10年国債利回りは攻撃前から7月末までに70bp上昇した。期待インフレ率の伸びは限定的で、実質金利に近い物価連動債の利回りが高まった。無利子資産の金の保有コストは重くなり、4~6月期のETFは北米を中心に45トンの純流出となった。
 もっとも、金価格の下落の全体はこれだけでは説明できない。下落を後押ししたのは、上昇局面で価格を押し上げた需要の鈍化だ。
 中国の地金・コイン購入量は、4~6月期に107トンと前期比でほぼ半減。インドでは原油高騰で貿易赤字が膨らみ、ルピー安に歯止めがかからなくなった。外貨の流出を抑えるため、政府は輸入額の約1割を占める金の購入抑制を呼び掛け、5月に金の輸入関税を6%から15%へ引き上げた。この結果、4~6月期の金輸入量は前期の209トンから98トンへ53%減少した。
 足元の金価格は下げ止まっている。下値を支えているのは中央銀行だ。各国中央銀行の純購入は、1~3月期の57トンから4~6月期には289トンへ急増。外貨準備の分散という構造的な需要を背景にしつつ、価格上昇時には購入を抑え、下落後に買いを増やす傾向が見て取れる。中銀需要は下落を抑える役割を担っている。
 金の持ち直しの転機となるのは、米国の金融政策だ。金融引き締め観測が後退すれば、まず金利に敏感な投資資金が戻りやすくなる。実際、先行きの物価高要因だった中東情勢の緊張緩和への期待を織り込む局面では、小反発する場面も見られる。
 相場がさらなる勢いに乗るには、中国とインドの需要回復が必要となる。金価格が本格的な上昇基調に転じれば、順張りの傾向が強い中国では追随買いが再開する可能性がある。インドでも、4~6月期は国内在庫の取り崩しで輸入を絞った面があり、在庫が細れば輸入は一定程度持ち直そう。原油価格の低下でルピー安圧力が和らげば、回復は早まる。26年後半の焦点は、実質金利の低下を起点とする反発にアジアの買いが続くかである。(「週刊金融財政事情」2026年8月18日号より転載)


https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/fa44a8fe2e29f2b0a47bbb672fbfd9200503a46b

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