https://www.auto-affairs.com/freearticles/122667-2025-06-13-05-02-11.html
レアアース(希土類)のリサイクル技術を開発するカナダ企業のサイクリック・マテリアルズ(Cyclic Materials、本社:オンタリオ州トロント市)は11日、同国のオンタリオ州キングストンで新工場を設置すると発表した。研究開発(R&D)機能も併設するとしている。
投資額は2500万米ドルで、新規雇用創出は45人。面積は14万平方フィート(約1万3000平方メートル)となっており、同社として初の商業リサイクル処理施設となる。
■米アリゾナ州の工場で一次処理
同社は米アリゾナ州メサ(Mesa)に電気自動車(EV)のモーターなどで使用済みとなったレアアース永久磁石を一次処理する「スポーク工場」を置いており、スポーク工場で処理した材料を加キングストンで建設する「ハブ工場」に搬入して加工することにより、ネオジムやプラセオジム、テルビウム、ジスプロシウムなどを含むリサイクル混合希土類酸化物(rMREO)にリサイクルする。
リサイクル品のrMREOはベルギーの化学メーカー大手ソルベイ(Solvay)などの顧客に納入することが決まっている。サイクリックとソルベイは2024年に永久磁石リサイクル材料の供給契約を締結していた。
■ハブ工場は26年の1~3月に稼働開始へ
キングストンのハブ工場は、米メサ工場で一次処理された材料を年間で500トン加工することが可能。ただし、二次処理後のrMREOの産出量については言及していない。ハブ工場の稼働は2026年の第1四半期(1~3月)中となる見通しだ。
同社によれば、希土類元素のリサイクル率は1%未満とされる。一方で、レアアースを採掘して加工する能力の約90%が中国に集中しており、地政学的リスクが顕在化している。このことから同社の新工場が稼働することにより、採掘に代わる環境負荷の少ない循環型リサイクルが可能になるだけでなく、レアアースの国内供給の安定化にも寄与すると主張している。