R3 Lithium、米国初の商業規模の炭酸リチウム回収施設を稼働へ
米国の新興企業R3 Lithiumは、同国初となる商業規模の炭酸リチウム回収施設を立ち上げる。これは、将来的に北米と欧州を結ぶバッテリー精製ネットワークを構築するための第一歩となる。
米国内の炭酸リチウム生産量の半分超を担う見込み
R3 Lithiumは、ジョージア州コビントンにある施設を2026年9月10日に稼働開始する予定である。フル稼働後の翌年には、同施設が米国内における炭酸リチウム総生産量の半分以上を占めると見込まれている。
現在、米国で生産される炭酸リチウムは世界全体の供給量の約1%にとどまっており、同施設は米国の国内生産能力を大きく押し上げることになる。
R3 Lithiumは2026年7月、154,000平方フィート(約14,300平方メートル)の施設と関連技術を、Ascend Elementsを運営していたチームから取得した。Ascend Elementsは同年、経営破綻を申請している。同社の共同創業者であるEric Gratz氏は、R3 Lithiumの最高技術責任者(CTO)として引き続き事業に携わる。
今回の買収は、GlobalTech Partners、TDK Ventures、Axial Partnersなどの投資家から調達した1,500万ドルのシリーズA資金を活用して実現した。今後は追加投資によって既存の炭酸リチウム生産ラインを改修し、連続的な商業運転へ移行する計画である。
Ascend Elementsのチームは、同施設の稼働に約1億5,000万ドルを投じ、リサイクル由来リチウムの商業規模での生産を初めて実証した。一方、R3 LithiumのLinh Austin CEOは、当時のチームが複数の事業に注力しすぎていたと指摘する。そこでR3 Lithiumは、炭酸リチウム事業に関連する設備と技術を取得し、事業の早期立ち上げを図った。
Austin CEOは、次のように述べている。
「効率的に操業できる体制を整えるため、必要な設備投資と改修を進めています。今回の最大の機会は、この資産そのものにありました。この施設にはすでに多額の投資が行われていましたが、以前の経営陣には、大規模な設備を実際に建設・運営した経験がありませんでした」
ブラックマスから炭酸リチウムを回収・精製
同施設では、リチウムを優先的に抽出する独自プロセスを採用する。使用済みバッテリー由来のブラックマスやバッテリー製造工程で発生するスクラップから炭酸リチウムを回収・精製し、再びバッテリーのサプライチェーンへ戻す仕組みである。
具体的には、焼成炉(カルサイナー)を用いた結晶化工程と、水を利用した沈殿工程によって炭酸リチウムを精製する。このプロセスにより、新たな鉱山開発や国外での精製に依存する必要がなくなる。リチウム抽出後に残るニッケル、コバルト、マンガンなどを含む混合物は、別の商品として販売される。
同施設は、米国が直面する重要鉱物不足の解消にも貢献すると期待されている。米国では、重要鉱物の海外流出を防ぐため、輸出制限を可能にする大統領令をはじめ、関連法案の審議や研究開発への資金支援など、複数の対策が進められている。
Austin CEOによると、R3 Lithiumのプロセスを活用すれば、ブラックマスの製造から精製までを米国内で完結させることができる。
「重要鉱物の確保は、国家にとって極めて重要な課題です。資源を循環させる取り組みには、経済的な魅力だけでなく、国家としての存立に関わるリスクに備え、重要鉱物を国内にとどめるという地政学上の必要性があります。私たちは、そこに非常に大きな可能性があると考えています」
年間2,500トンの炭酸リチウムを生産
同施設は、リサイクル原料のみを使用し、純度99%の炭酸リチウムを商業規模で生産した米国初の施設である。
年間処理能力は、原料の破砕工程が30,000トン、炭酸リチウムの生産量が2,500トン。さらに、年間2,500トンを生産できる追加ラインを設置するためのスペースも確保されている。
R3 Lithiumはすでに、同施設で生産される製品について、総額約10億ドルに上る引取契約を締結している。
今後は、北米および欧州に炭酸リチウム生産施設とブラックマス破砕施設のネットワークを構築する成長計画を進める。新たに計画されている施設は、それぞれ年間5,000トンの炭酸リチウムを生産できる設計とし、資金調達の完了と引取契約の確保を条件に開設する方針である。
Austin CEOは、今後の展開について次のように説明している。
「このプロセスは、いわば“コピー・アンド・ペースト”のように他の拠点へ横展開できます。技術はすでに実証済みであり、実際の生産実績もあります。炭酸リチウムに対する市場需要は非常に大きいと見ています」
R3 Lithiumは、Nth CycleやControlled Thermal Resourcesなどとともに、資金調達や生産能力の拡大を通じて、米国内における重要鉱物の供給不足解消を目指している。
炭酸リチウムは医療分野でも使用されるほか、電気自動車(EV)をはじめとする充電式リチウムイオンバッテリーの主要原料の一つである。
https://resource-recycling.com/e-scrap/2026/09/04/r3-lithium-launches-pioneering-mineral-processing-facility/
